天文学オリンピックの雑多(2025/08/01 最終更新)
はじめに
知人に書けと書けと言われつつ結局書いていなかったものを中途半端に流したものになります。この記事を偶然に見つけた方の役に立つことがあれば嬉しいです。
天文学オリンピックについて
日本では2022年に大学生主導の日本天文学オリンピック委員会が立ち上げられ、これまでに4回の国内大会が行われています。第1回で選抜された参加者はIAO(国際天文学オリンピック)へ、第2回以降の大会で選抜された参加者はIOAA(国際天文学・天体物理学オリンピック)へ派遣されています。
有難い事に、自分はIAOとIOAAの両方参加させていただきました。コロナやら戦争やらのせいでIAOの方はオンライン大会でしたが…。
他の科学オリンピック(数学、物理、化学など)と比べると知名度が無いことは否定できませんが、それでも2022年当初に比べれば何倍もの人々に広まったと思います。特に自分が第1回の頃から言っていた、地学オリンピックの人々だけでなく物理オリンピックの人々が流入してほしいという思いも実現しました。
何をするか
知識①
「このオリンピック出てみたいけど何すればいいのかわからない」という声をよく聞きます。まあ普通そうだと思います。
というわけで取り敢えず委員会が公開している「学習資料」ページの一番下に掲載されている「天文学分野の科学オリンピックの参考図書」でも見てみましょう。
率直に言って、まあ殆ど地学方面の参考書です。
最初に、天文学の知識が無いと話にならないので知識系の本を読みましょう。
自分が「基本的」な知識の取り込み方だけ訊かれたとき、最初にこの本を勧めます。実際この本は割と読みやすい本だと思っていて、第1回大会の後に読み始めてもそれなりに十分な確認として使えました。
他には地学の参考書で天体分野を読んでおけば基礎的な知識は大丈夫だと思います。参考書といっても、教科書が手に入りにくいという人は参考図書に書いている「もう一度~」や図表でも大丈夫だと思っています。
その上で、問題演習をしてみるといいと思います。おそらく対応できる問題集は「センサー地学」が筆頭だと思います。
www.shinko-keirinbunkenweb.shop
知識②
でも試験にはこういった地学的な話に加えて、星座・星の名前、位置、形などを訊かれることがあります。更に面倒なことに、「メシエ天体」や「NGCカタログ(これはあまり出題されない)」といった銀河や星雲・星団の分類グループのようなものもあって、中々渋いものです。
まず、少なくとも予選を通りたいと考えてい人は88星座それぞれに割り振られたアルファベット3文字の「略符」を覚えることを推奨します。参加者の中にはこのような知識が無くても圧倒的物理力・計算力(地学力はそれほど関係ないです)で殴ることが出来る!という人もいますが、勉強法がわからないという人や本当に何も競技科学の経験がない人にとっては、「知っていれば簡単に点が取れるマイナーでない知識問題」を確実に取ることが求められます。そういう点では略符は覚えた方が良いでしょう。
そして星の名前や略号ですが、基本的に星の名前は「1等星」+「有名なアステリズム(夏の大三角や北斗七星といった図形的な並び)」を形成する星の固有名(単に一般的に我々が覚える名前と同義)を覚えましょう。Google先生で「有名な星」と検索してそる程度の数を覚えるのも良いです。
メシエ天体は、「銀河と星雲→所属星座とメシエ番号必須」「星団→ある程度有名なものだけに絞り、その所属星座と番号」で良いと思います。星団なんて全部覚えることは国内大会では不要でしょう。ちなみに国際大会はメシエ天体を全て覚えることが不可欠。
まあこんな感じの本を使えば良いと思います。ただお値段高めなのでネットで画像や星図を拾うのも問題なし。
数理的計算
初心者・初学者が興味本位で問題を見て挫折・絶望する要因は、問題群における計算割合だと思います。それも割と重い問題が多く、本番では全て解き切る時間がほぼ無いです。自分は頑張っても予選成績が50点中30点後半でした…。
無理な人は無理、取れる人は取れるとしか言いようがないです。すみません。ただ確実に言えるのは、数学(関数とか図形関連)と物理(力学・波動・原子)はやっておこうという話です。というか最近の問題を見る限りやらないと不味い気がします。自分はそれほど難しい問題でなかった時代の人なので、物理の波動と原子だけやって耐えました。
この本が一番おすすめされている本ではないかと思っています。一応高校生にとって絶対無理ではないらしい範囲で天文学を取り扱っているらしく、実際自分も国際前には読んでいたりしました。ただ微分積分が全くわからないので、計算式に微分積分が出ているところは丸飛ばしで読んでいました。ただし、国内・国際の物理っぽい問題の基礎となる事柄の他、出題ネタも豊富に詰まっています。本選で上位、もしくは代表を目指す人は絶対読んでおきましょう。実際第4回の本選の問題は半分くらいこの本と国際大会の問題に準拠していました。
自分はこっちの方が初心者向けだと思っています。少々古い本かもしれない+物理ではなく数学的な話中心(恒星の圧力のような話ではなく日食の周期など)となっていますが、かなり有難い本です。読み込みましょう。
自分が人生の中で初めて読んだ計算系の本が『天文計算入門』です。中2の頃にこの本を自治体の図書館で見つけ、学校の授業中に頑張って1文字1文字真っ白なノートに書き連ねたのは懐かしいです。どうして天文学オリンピックすら始まっていないのにこのような気持ち悪い行動をしていたのでしょうか。この本のメリットは球面三角法と軌道計算にアホほど強くなれます。古い本だけどこれらの分野に限っては1番詳しいと断言します。が、天文学オリンピック対策としてはおすすめできません。細かすぎて最低限必要な部分が読みにくかったり、球面三角の方位角基準点が北ではなく南になっているなど(国際大会のSyllabusには北が基準であると明記)様々な理由があります。
国際大会の過去問です。困ったら諦めて過去問をやります。全部英語ですが、適当にDeepLにでも突っ込みましょう。勿論自力で頑張るのも問題ないです。ただ天文用語を翻訳ツールはあまり翻訳できないらしく、視線速度「radical velocity」や衝「opposition」を正しく翻訳してもらえませんでした。英語が全くできない自分は問題すら理解できず敗北しました。Googleでその後単語単体で調べました。
※2025/08/01 最終更新
二次予選
JESO17th二次予選に参加した。

これは酷い。
状況が状況だったので本選に進めたこと自体意外だったが、これは流石に酷い。天文Cは流石に力落ちたなあ、と。
中3・高1と二次予選は突破したものの、中3では特に何も出来ず、高1では本選当日筑波に行かなかった。だからそれなりには気分が良い。
2年ぶりの現地本選、1年振りの筑波、そして最後の競技科学楽しむ。
科学の甲子園 雑感想
第13回科学の甲子園は3月15日から行われた参加した感想を駄文ながら書き綴った。
1.県予選
奈良県予選には8校しか参加しておらず、教育委員会の広くも狭くもない施設に朝から軟禁されてました。
奈良県は筆記(30点×6分野)と実技(180点満点×2)の総合540点の形式で、弊校は8割程の点数で県予選を突破しました。実技1での幸運や、本番が2回しかない実技2での崖っぷちからの成功が無ければ3位まで順位が落ちていたと思います。危ない。
2.Day1
朝京都駅から新幹線へ。同じ新幹線には洛南(京都)、高槻(大阪)、神大附属(兵庫)もいたらしい。車内で筆記の練習をしていたら割と不味そうなのが発覚、焦る。怪しい部分はTX乗車中に頑張って潰した。筑波に着いたらつくば国際会議場へ直行。自分は直前に行くはずだった地学オリンピック本選を欠席した(唯一らしい)ので、割とテンションが上がっていた。

会場についてブルゾンを着ると、同校高2の3人とコンビニへ。他校の人々が「おお~東大寺だ」みたいなことを言っていて、知名度あるんだと思ったりした。
手早く買い物を済ませて開会式へ。後ろが洛南・右前が土佐(高知)と、割と知り合いが多い学校だったので結構直前まで雑談してた。アッピンを初めて生で観た。デカい。運営の人に移動を手助けされてた。あとPV凝ってた。
開会式が終わると同時に筆記試験会場に移動。もっと各校場所が分かれてるのかと思ったら全然そんなことなかった。自分は地学担当だったので、今年は天文と固地or海洋かなと思ったら案の定天文と海洋だった。でも海洋は物理だったから数学要素は全部高2に丸投げした。天文は代入値を取り違えたせいで満点逃した。挙句の果てにこのせいで筆記表彰逃した。つらい。過去問よりずっと疲れた。夕食中もミスのことを考えてた。
東横INNだったのでバスでホテルまで行った。部屋に入った直後にスマホの通知が増えていることに気づき何事かと思ったらJAO*1の結果が出たらしい。散々の結果だったから金賞メールを見て、は?、と。考えても無駄っぽかったので次の日の試験が終わるまでは考えないことにした。この日はAM1:00まで起きていた。
3.Day2
この日3つの実技試験があったが、自分は実技①のみの出場だった。5大会ぶりの地学実技だから色々出すだろ!って思ったら地質onlyで詰みを確信。案の定全然点が取れず苦い思いをした。鑑定の点が取れなかったのが痛かった。
昼休憩の時に色々な人と喋った。JAOで金賞だったらじあん君や悲惨さんに会いに行った。特に悲惨さんはツイ廃っぽい感じだった、まともではない。前日会話したnmoonや他の京都勢、他にもSigmaArfさんやSORAさんと会話した。メンバーが強い。
以降観戦。
実技②は化学で4人ということで何が来るか気になっていたが、蓋を開けてみるとイオンの特定だった。面白そう。白衣見るからに薄そうだった。同校の某は濃い水色の服が透けて見えていたし、半パンだったから膝より下の生足が露出してた。危ない。最初に置かれていたイオン溶液、インスタ映えしそうだった。
事前公開競技:実技③は全校一斉何をやっているかが観客席からよく見えた。機体の形が各校バラバラだったのは意外だった。諏訪清陵の試射が、観客席にギリギリ入らないように打ち上がっていたので結構湧いてた。
本番、栄光学園(神奈川)、久留米附設(福岡)、東葛飾(千葉)といった有名校と同じ組だったので結果が楽しみだった。2回目の後に弊校はお通夜モードだったので正直落ちた?と思っていた。結果は予選通過で、無駄な心配をしてしまった。
あとインスタ映えしそうな競技だった(2回目)。
疲れ切ってホテルに戻ると、後はとことん遊ぶだけ。AM2:30とかまで起きてた、もう少し起きたかった。
4.Day3
朝からエクスカーションだった。場所はJAXA筑波宇宙センター。JAXAの相模原キャンパスは数回行ったことがあるが、筑波の方は初めてだったのでとても楽しかった。残念ながら宇宙兄弟は読んだことが無かったのでそっち系の話はよくわからなかった。


↑オタク地学徒なら皆知ってるシーンの再現もしてきた。確かに低かったし機体に触れた、、、悲しい*2。どうやら自分はこれで筑波・石垣の恋アス2大聖地を訪れたことになったらしい。いいね。


スペースドームでは「推し」宇宙機の宇宙ステーション補給機『H-II Transfer Vehicle(こうのとり)』と月探査衛星『かぐや』を見た。感動した。日曜日ということもあって子供連れがいたりして賑やかだった。買い物は長引いたけど、、、。
その後閉会式があった。普通に11位以下だと思っていたので、7位と聞いたときに正直安心してしまった、良くない。あと栄光は強かった、どの学校が来年倒すのかが楽しみでもある。
ブース展示は一回りしたらずっと他校の人と雑談していた。盛岡の人と話した時に東北勢の科オリ事情なども聞いて、色々考えさせられることもあった。
フェアウェルパーティーでは、最初は知人としか話していなかったけれども、膳所と県立広島の高1と長話をした。神大附属の小学校同期と再会できたのも中々嬉しかった。フェアウェルパーティーで本当に色々な人と話すことが出来たし、時間も忘れてしまうほど、とても貴重で有難い機会を設けてもらった。
4.(Day4)
この日、科甲の予定は「解散」のみ。東京観光した。皆で東大に行った。自分が東大に行くのは2回目だったが、鉄門講堂や附属病院を観に行って、圧倒された。同時に受験勉強を思い出してしまい苦笑してしまった。秋葉原にも行った。サブカルと電気街は健在で、色々買い物してしまった。

5.終わりに
競技科学に身を投じてから夢の1つであった科学の甲子園全国大会に参加できてとても嬉しいのは勿論、その中で様々な交流や経験が出来たのは本当に色々な人のおかげなので、感謝している。来年も県予選を運良く突破できれば良いなと思っている。県予選が正直一番厳しいと思うので、頑張りたい。あと是非後輩にも興味を持ってもらい、参加したいとの声が上がることを待っている。
皆さん、ありがとうございました。
おわりだよー
JAO本選結果
JAOの結果が返ってきた。
よくわからないが金賞だったらしい。
実技大問2が殆ど点を落としていたり、衝撃波の問題を最後まで解けてないなど散々な内容だったから意外だし納得できない。
最優秀や優秀の人間はどんな難易度でも十分に解き切れないといけない、と思ってしまう。